破滅したお客さんの話。

私が、過去キャバクラ譲として働いていた時のお客さんの話です。
そのお客さんはSさんとします。Sさんは当時、私の働いていたお店でナンバー入りの人気嬢Mちゃんのお客さんでした。
私はMちゃんとプライベートでも仲が良かったため、Sさんがお店に来ると私も一緒に席につかせてもらうといったことが多くありました。
Sさんは40代半ば、某大手企業の役職に就かれていて、独身だったため自由気ままに遊びまわりいつでも大盤振る舞いといったかんじでした。
そんなSさんにMちゃんはいつも甘えていました。
忙しい時には何時間も放置し、暇な時には突然呼び出し、来れないと言われると拗ねてみせるといったパターンが毎度のことでした。
それでもSさんはMちゃんに夢中だったので、いつもMちゃんの一番のお客さんでいたいとひたすらにMちゃんの言いなりでした。
そんな時、Mちゃんはお客さんの入れ替わりが激しくなり、なかなか売り上げが安定せずナンバーに入れない月が続きました。
絶対にナンバーに返り咲きたかったMちゃんが頼ったのはもちろんSさん。
Sさんは毎日のように、開店から閉店まで来店してはMちゃんにねだられるままに高価なお酒を入れ続けました。そしてMちゃんのお誕生日には、どのお客さんよりも高価な贈り物を贈り、数百万のシャンパンタワーでお祝いをしていました。
ある日、SさんはMちゃんが席を立ったタイミングで「実はお金が厳しい。会社の上司と意見が合わずを退職した。でもMちゃんには言わないで欲しい。」と私に漏らしました。
私はその話をMちゃんには決して言いませんでした。
それから数か月後、Sさんは以前ほど頻繁にはお店に現れなくなりました。
そんな頃、お店のボーイから「Sさんに個人的にお金を貸してほしいと頼まれて断った。」と聞きました。その話は当然、店長やスタッフをはじめ、Mちゃんの耳にも入り、Sさんはお店を出入り禁止になってしまいました。
それからMちゃんはSさんの連絡先を拒否設定にし、Sさんは二度とお店には現れませんでした。
Sさんのことが話題に上らなくなった頃。Sさんの元同僚の方がお店に来店され、衝撃の話を口にされたのです。
なんと、Sさんは自主退職したのではなく会社のお金を不正に着服したことが発覚し、大事にしたくはなかった会社の意向でクビになったという話でした。
きっとお金が続かない中で、Mちゃんに嫌われたくなくてそういった過ちまで犯してしまったのだと思います。
その後私はキャバクラを辞め、昼職で働いていました。昼職の関係でオフィス街を歩いていた時に、見かけたことのある男性が目に入りました。
全身ボロボロの衣類を身に着け、空き缶の中に小銭を募っているSさんでした。
そんなSさんをみて呆然としたのを覚えています。
後先考えず、キャバクラで働く女性に夢中になった一人の男性が破滅した話でした。